研匠の歴史は古く、創業は400年以上前に遡ります。時は信長の時代、当初刀研ぎを生業とする一門でしたが、豊臣が刀狩令を発すると状況は一変。刀研ぎだけでは廃業の恐れがあることから、刃物研ぎの一派が生まれたとのこと。これが今の研匠の家系に繋がっていると言います。悠久の歴史の中で脈々と受け継がれてきた研匠の技は、時を超えて職業人を感動させ続けています。

はさみ研ぎについて

研匠の仕事は全てが手作業。機械では難しい細やかな微調整も、職人の身体にしみこんでいる知識・技術・経験がなせる業。例えばセンターの調整ひとつとっても、職人ははさみひとつひとつの状態に合わせて工程を変えています。研匠ははさみを作ることもでき、はさみの構造や製造工程も理解していることが、修理や調整に生きていると言えます。

現在は研匠のように手仕事をする職人は減っており、機械化が進んでいます。まだ直せるはさみでも、機械では対応ができないことも。そんな時の頼みの綱として研匠を訪ねてくるお客様もおり、多くのリピーター様がいらっしゃるそうです。大事にしているのは「現状でベストな形に近づけること」。思い入れのあるそれぞれのはさみを、簡単に切り捨てないのが研匠です。